令和8年10月16日

九段下駅前の大通りから一本脇へ入ると、ビルの谷間に、東京では珍しくなった、ザ・木造家屋が姿を現す。現在は居酒屋になっている。

背後には大きなビルがそびえ立ち、周囲では再開発も進む。その間に挟まれるようにして残る黒ずんだ板壁が味を出しまくっている。

築およそ100年。昭和3年に最初の登記がされているものの、建築自体はさらに古い可能性もあるらしい。元々は時計屋さんだったらしいが、令和7年10月16日、この建物を生かした居酒屋として開店した。訪れたのは、ちょうど開業から1年の日だった。


二階の格子窓から漏れる橙色の灯り。ここだけ昭和の町並みを切り取って持ってきたようだ。


丸窓もたまらない。幾何学的な桟の向こうに室内の明かりが透けているのが堪らない。

錆びた郵便受け。

「酒とてらだや」と書かれた行灯に誘われ、いよいよ中へ。


階段を上り二階へ。


因みに、料理もちゃんと凄い。器なども、ちゃんと昔。



今自分が都心にいることを忘れてしまいそうだ。

二階には畳敷きの部屋も。

ご馳走様でした!


しかし、この一角は再開発の対象となっている。令和10年度に工事着手され、駅直結の高層ビルが建つらしい。

いつかここは消えてしまう。新陳代謝の激しい街では、致し方ないのかも知れない。でもいつの日か、そんな素敵な場所でご飯を食べたこともあったなぁ、と、いつか懐かしく思い出すのだろう。