令和8年7月5日

雨の国道153号沿いで、黒い板張りの小さな駅舎がある。名鉄三河線の旧西中金駅である。重伝建、足助方面へ向かう鉄路として開業した。


側面。駅舎は昭和5年に建てられたらしい。平成19年には国の登録有形文化財となった。

ホーム。終着駅のため、手前側には線路は伸びていなかった。現在は「西中金ふれあいステーション」として、地域の人々により管理されている。鉄道の役目を終えても、人が集う場であり続けているのがうれしい。

ホームに登る。猿投―西中金間は昭和60年からレールバスが走ったが、平成16年3月末に廃止された。

廃止から22年が経つが、本当に綺麗に維持されている。

駅名標。かつては足助まで路線を伸ばす計画もあったらしいが、ついに実現せずに廃止されてしまった。駅名標の左下側の余白に、駅名が書かれてることを夢見ていたのだ。

駅名標、可愛いね。


ホームの向こうには瓦屋根の家々が並び、細い道が山際へ吸い込まれていく。列車が走っていたころから、この眺めはそれほど変わっていないのだろう。鉄路を失った駅ではあるけれど、駅舎とホーム、そして暮らしの風景が一緒に残っている。だからこそ、ここには単なる廃駅では終わらない旅情がある。