【北海道】凍ったピアノとトドの剥製、夕張第二小学校跡を散策!

令和4年4月2日、再訪:令和5年2月5日

かつて炭鉱で栄えた夕張市内には数多くの廃墟が存在する。 それは観光施設にまつわるものが多いが、病院や公園、プール、 教習所など様々なものが点在している。今回は、沢山の廃墟がある夕張市内においても、全国的に珍しいものが見られるという場所に行ってきた。もともとは小学校だったが、廃校後、宿泊施設となったものの閉業しそのまま残ってしまっている物件だ。
写真を見てもわかる通り、除雪などされていないため盛りに盛られた雪の上を歩いて近づくしか術は無い。
下手をすると雪に足を取られかねないため、できるだけかんじきを履いてくるのをお勧めする。
入り口。ここまで写真を見てきた方はの中にはおそらく「 いやいやいや何も冬に行かなくても…雪解けの後に行けばいいんじゃないか?」 お思いの方もいるかと思う。しかしこの季節でないとダメな理由が1つあるのだ。
建物は3階建てであり、ごく一般的な学校の校舎の作りである。先ほど、全国的に珍しいものが見られると書いたが、正直建物自体はそこまで変わった点は無い。
場所によってはもう 桜の季節だと言うのに、ここはまだまだ冬景色だ。
窓が割れているため、続いた雪がそのまま建物の中に侵食していた。 おそらくはゴールデンウィークごろまでは全て解け切れないことだろう。
夏はここからも進入可能である。が、残念ながら冬はこちらから入る事は困難だ。かんじきを履いていれば入れないこともないが、できるだけ雪の上は歩かないほうが身の安全のためなので、距離的に裏口から入ったほうが無難だ。
令和生まれの大半は、この写真に写る物が何かを知らず、する必要もなく、一生を全うするのであろう。
雪とガラスの境目。
案内図。かつては体育館がそのままの形で残されていたが、ここ数年の間に、 雪の重さで屋根が潰れてしまい探索不可能となっている。
いくつも 並ぶ洗面台。何枚目かの鏡の前を通った時、何か変なものが写っていないかちょっとドキドキしてしまう。
浴場跡。
換気扇スイッチ。
大型テレビジョン。
いつかの写真。
かつてはいくつもの催しが開かれていたようだ。
2階へ進もう。こちらにも雪だまりができていた。
天井からの雨漏りによって廊下水浸しになっている。そのまま1階へと滴り落ちていた。 校舎内で響くのは水が床に打ち付ける音のみであった。
教室。
黒板。
お手洗い。
廊下を進むと何やら大きな動物がいるではないか。
おぉ、 なかなかグロテスクだ。もともとはトドの剥製だったらしいが、何者かによって顔面が大変な状況になってしまっている。
全国的に見て珍しいものの1つはこのトドの剥製であったのだが、 もはや見ものの1つとして数えられるものではなくなってしまっていた。
前情報なしで階段を上った先にこの物体が突然視界に入ったら、心臓が飛び出てしまうことだろう。
三階へと進む。
この部屋の片隅にあるピアノが、全国的に見て珍しい物の残りの一つである。
黒板。
一旦黒板の写真を挟んだが、ではこのピアノの何が珍しいのだろうか。近づいてみることにしよう。
お分かりいただけるだろうか…。
なんとこのピアノ、凍っているのである。さすが北海道、天井から滑り落ちた水が氷点下の空気に冷やされ氷柱になってピアノを覆っているのだ。
ただ、来訪する時期が遅すぎた。もう1ヵ月前にやってくるべきだったと思う。時期によっては鍵盤のところも完全に凍っているそうだ。
もう4月なので、鍵盤部分は残念ながら氷が溶けてしまっていた。
しかしながら、これほどまでにボロボロになってもなお自立しているピアノは他にあるであろうか。
「昔みたいに綺麗な音を鳴らしたいと思っているのでは」と考えると胸が苦しくなる。
椅子は朽ち落ちてしまっていた。
大きく成長した氷柱。廊下の水浸し具合からも、このピアノを見る旬は少し過ぎてしまっていたようだ。来年のこの時期も北海道民であったならば、大雪の中かなり難航しそうではあるが、 また探索しに行きたいと思う。

~ここから再訪~

またやって来た。しかし、前回よりも雪が多く、近づくのに苦労した。なんせ通行止の道がこんなに埋もれているのである。こんだけ積もっているところをずぼずぼ足を埋めながら歩いていかねばならない。
さて、行きましょう。
前回来た時よりも物が増えている印象だ。
テレビが増えてる。ビデオカメラも増えてる。これはもしかしたら配置が変えられただけなのかもしれないが、個人宛の通知書等、明らかに最近捨てられた物があった。
浴室。
廊下。前回来た時は雪解け中だったので水浸しであったが、氷点下の気温が続く2月はまだ水の滴る音は聞こえない。
カメラを変えて、前回よりもコントラストがあっても撮るのが苦ではなくなった。
ボイラー室。肉眼ではかなり暗くても、高感度撮影(ISO8000)で明るく撮ってみる。
そして、トド。
こちらは前回来なかった部屋。今でも食事が運ばれてくるのを待っているかのようだ。
食事をし終え、人が消えてから17年。
17年前のカレンダー。
部屋に入った瞬間、「良い」って声が出た。
もう誰も、談笑することはない。
3階に上がると、雪が進出していた。
転げた椅子は、何も語らない。
深い雪に閉ざされた世界を望む教室。
体育館棟の方に行くと、これまた前回は見なかった部屋が。相撲部屋だ。
廃相撲場なんて、前にも先にもここ以外で見る事はないだろう。
表彰状が無惨な置かれ方をされていた。
そしてピアノ。盤面一面が氷に覆われている姿を想像していたが、今度は来るのが早すぎだようで、前回と同じくらいしか氷が張り付いていなかった。
3月か…3月10日位が良いのかな…。
とは言え、教室の端はこんな有様なので、氷が全体を覆う年はあまり無いのかもしれない。
ピアノよりも、こちらの異常なほどに発達した氷柱に見入ってしまった。
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