平成28年3月17日、再訪:令和6年2月25日
高知県を走る、土讃線の新改駅。カーブミラーに自分以外が写っているんじゃないか?と確認したくなる。
駅舎。綺麗に掃除されている。
駅を出て右に伸びる道はグーグルマップには表示されておらず、どこに向かっているのかさえ不明であった。雨と分厚い雲で日光はほとんど刺し込まず、不気味な雰囲気を醸し出していた。孤独感が堪らない。なかなかの傾斜で、180度曲がるような道が散見された。某自動車漫画に出てきそうな道である。1kmほど進んだであろうか。上り坂が一転、下り坂になった。
こちらも180度に曲がっている。標高差がよく分かるだろう。
日が落ちると真っ暗になり、駅に帰れなくなるため、この付近で引き返す事にした。しかし、この暗さは堪らなく素晴らしい。もう一度地図を調べてみると、観音堂へと続く道らしかった。
今度は駅前を左に少しだけ進んでみた。1.3km先に集落があるらしいが、日没がいよいよ近くなってきたため途中で引き返した。
次の電車まで1時間ほど残されていたので、駅ノートを書いたり読んだりしていた。書き込みの一つに「昔はこの駅から1時間以上歩いて祖父母の家に行ったものでした。今から50年以上前、小学生の頃です。なんか空しい、さみしい。」と書いてあった。肌寒い暗がりの雨の中、一人で電車を待っている自分と重なって、なんとも言えない共感を得た。この「空しい、さみしい」は50年前、在りし日の祖父母を思い出したことなのか、新改駅周辺がすっかり廃れてしまったことなのか、それとも自分が年老いてしまったことに嘆いているのかは分からない。全部に当てはまる気もする。一人、待合室で大きな溜息をついた。来る列車から降りる客が居る筈もなく、列車に自分一人だけを乗せ、阿波池田駅へと連れて行くのであった。
~ここから再訪~