【神奈川】鶴見線の戦前の雰囲気がそのまま残る、国道駅を散歩!

平成27年某日、再訪:平成29年7月6日、再々訪:令和4年7月17日、4度目:令和4年12月28日

東京駅から一番近くて凄い駅といっても過言ではないような、とても個性的な駅がある。ここは神奈川県鶴見線、鶴見駅の隣にある国道駅。昭和5年の開業当時の駅舎が現在も使われている。

駅は国道15号線(第一京浜)沿にあるため、車通りが激しく騒がしいのだが、一歩アーケードの中に入るとそこは別世界である。ここだけが半世紀以上時が止まっている様に感じられる。

駅ホーム。鶴見線は3両の電車だが、朝の通勤ラッシュ時は途切れることなく電車が往来し、かなりの乗車率である。しかし、朝を過ぎれば静寂が訪れる。ゆっくりと駅内探索が可能だ。

男性用便所。明らかに便器だけ新しく、違和感を覚える。

落書きだらけの国道駅入口。駅舎には太平洋戦争時の弾痕が無数に見られる。

注意書き。鶴見臨港鉄道時代の「川崎保線区長」がなんなのかを調べてみたが、インターネットにそれらしきものは見当たらなかった。この駅には、他にも時代を感じさせるものが沢山残っている。


〜ここから再訪〜

太平洋戦争時の米軍機による機銃掃射の跡が残っている。攻撃によって割られた窓ガラスは割れたままで、修繕する気は感じられない。文化財に指定されているわけではなく、経年劣化でいつの日か取り壊されてしまう心配がある。戦争によってこの土地が攻撃されたことを証明する建築物は歴史的に見ても価値があるため、文化庁の対応に期待が高まる。

柱の周りにはスクラッチスタイルが施されている。

高架下の建物は、二階が住居階、一階が商店となっており、屋根の代わりは高架の線路部分。いかにも昭和な雰囲気を漂わせている。

二階の窓はほとんど塞がれている。建設から90年が経とうとしており、コンクリートの劣化は激しく、鉄筋露出やコンクリートの剥落が生じている。ベニヤ板で板打ちされている住居もある。補修が必要で、落下を防ぐためネットが外壁に張られている。

昭和62年の下には昭和82年の文字が。昭和がいつ終わるかなんて分からなかったのが伺える。この駅にあるものは、何もかも昭和なのだ。なんとも心地良い空間だ。

鶴見ー国道駅間の高架橋。設計者はコンクリート博士とも呼ばれた阿部美樹志。


〜ここから再々訪〜

久しぶりにやって来た。高校時代、毎日のように上空を通っていた国道駅も、卒業し神奈川を離れてからはめっきり来ることが無くなっていた。しかし、時折話題になる国道駅を忘れることはなかった。
いつの間にか5年もの月日が流れていたが、この薄暗い空間は今も健在だった。とは言え、国道に面した太平洋戦争時の弾痕が残る窓は埋め殺しされていた。劣化は確実に進んでいるようだ。
しかし、この駅の魅力が無くなってしまった訳ではなく、ご覧の通り健在だ。ガード下のこの薄暗さがたまらない。
唯一営業をしていた焼き鳥屋は、ここ数年休業しているようだ。
この空間で一番明るいのは自動販売機の光かもしれない。ガード下の住居全てが無人な訳ではないが、住居から漏れる光は少ない。
改札口。首都圏近郊ではかなり簡易的なタイプの改札。
ホームへ伸びる階段。
鶴見川側の出入口。素人目には無意味に見える鉄骨がかっこいい。
これが令和にある駅の出入口とは俄には信じ難い。
国道駅には出入口が3つある。第一京浜側、鶴見川側、それと住宅街からの裏口だ。裏口は、先程の写真よりもさらに駅の出入口には見えない。
この先に改札があることなんて、初見の人で気がつくなんてことあるのだろうか。
ガーター下側からの景色。
いつの日か、この空間はなくなってしまうことだろう。窓が埋め殺しされたことからも、修繕をするつもりは管理者にはなさそうだ。昭和5年に開業した当時の面影を残しているこの空間は、いつまでもあって欲しいが、どうなることやら・・・。令和の時代を生き残ることはできるのだろうか、心配だ。

~ここから4度目訪問~

カメラを変えたので、撮りたくなってまた来てしまった。高感度に強くなったので、初の夜の撮影である。
第一京浜側から改札口方面を望む。
第一京浜を望む。
魚眼レンズで、改札口付近を撮影。やはり、令和に生きる現役の駅とは思えない風格。しかし残念ながら、焼き鳥屋は正式に閉業してしまっていた。
吸い込まれてしまう。
鶴見線という、ローカル線が走っている。自分の高校も、この路線沿いにあった。
1人、静かに光る街灯に照らされていた。
色をいじって楽しんでみる。カメラを変えて、夜の写真も綺麗に編集できるようになって楽しい。
ホラー展開な何かが起きそうな暗闇の自販機。
夜に訪れた裏口、不気味すぎる。
これ、本当に駅に行けるのかよ…ってなる。

尚、当該箇所については以下のネットニュースにて取り上げていただいた。

【タイムスリップ?】昭和感たっぷりのレトロ駅、行ったことないのに懐かしいっ…!! – 「行ってみたい」「昭和の香りがプンプン」 | マイナビニュース (mynavi.jp)

「これ、現役の駅なんだぜ…」昭和時代にタイムスリップ 廃墟のようなガード下、この場所は1930年のまま JR鶴見線国道駅|まいどなニュース (maidonanews.jp)

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