令和3年9月4日
北海道に住み始めて丸五ヶ月が経った。北海道は学生時代から鉄道旅行をしたり日本一周したりするために訪れていたので、なかなかな数の市町村を足にしてきたが、まだ北海道で行ったことがない場所といえば、そう、北海道最高峰の旭岳だ。普段は山登りはしないので、北海道の山はほとんど行ったことがないのだが、これだけ大きな土地でも最高峰は2300m弱なのだから、自分でも行けそうだ、ということでやってきた。
ロープウェイというチート技があるので、往復三千二百円と値は張るが、乗ってきた。これを使えば、半日で行って帰ってくることができる。9時40分登山開始。
登り始めて1時間ほどは植物が生えており、大きな綺麗な池や、
噴気孔から轟音と共にモクモクと蒸気が上がっていたりするのを見ることができる。
霧が立ち込めたと思えば視界が開けたり、雨が降ったりと忙しい天気であった。晴れている時は綺麗な景色が見えて楽しいのだが、曇ってしまえば登山はただの苦行となる。
これも地球の景色なんだな、と思う。
上に登るにつれ、植物は生えなくなり、足元はガレ場となる。とはいえ、大きな岩を腕を使って攀じ登るような道ではないので、体力的にはそれほど消費はせずに済む。
ただ、9月の頭とはいえ北海道の最高峰、一瞬雹が降ってきてびっくりした。また、山頂付近では手袋がないと悴んでしまうほどには寒かった。正午頃なのに、である。
つまりは、万が一遭難して夜になれば凍死の恐れも十二分にあり得るわけだ。
深い霧に覆われれば孤独感がいっそうと高まる。ここで万が一道を見失ったら、凍死まっしぐらなのだ。
なんとか山頂に着いた。2291m。長めの休憩をとったわけではないが、2時間30分掛かった。寒くて飲み物は500mlしか消費していない。
降り道。さらさらな砂に足を取られ、滑り落ちないように注意しながらの下山となった。途中、光のカーテンがすこぶる綺麗に見えた。