【静岡】河津町の美しすぎる鄙び温泉宿、竹の庄に宿泊!

令和4年2月11日

春の訪れよりも早く咲く、河津桜が有名な静岡県河津町。河津駅から2kmほど内陸に入った峰温泉街には、一際鄙びた、国内最高峰の内湯を持つ宿がある。それがここ「竹の庄(たけのしょう)」。
純和風建築で昭和8年築。もともと東京で遊郭の建物として存していたらしいが、取り壊しに伴って発生した部材をこの建物の材料に当てられたとのこと。
こちらが入口から入ったところ。豪華絢爛だ。建てられたのは太平洋戦争前であったため、階段の手すりには当初、真鍮が用いられていたようだが、戦時中、金属の不足に伴い、手すりや装飾は全て取り外された。
今は素泊まり専門の宿となっているが、かつては豪華なご飯がつく高級宿として経営されていた。なるほど、その名残か。首が縦に大きく振れて振り止まない。
スケルトンの床が。なんだ、これは、と不思議がっていると、宿主さんが話しかけてくれた。20年ほど前までは、中庭に大きな池があり、待合室の下にまで池が広がっていたという。そのため、透明な床を通して鯉を見られたりしていたというのだ。お洒落。
しかし、庭の手入れが大変なため、現在は水を抜いている。写真の右側は大広間となっており、かつては団体用の食事スペースとなっていた。多い時は大型バスで2台、百人もの人間が押し寄せたという。飲めや踊れやの大騒ぎであったらしい。会社で旅行に行くなんて時代は終わり、団体客というのは全国を見ても稀になった。そりゃそうだ、これだけ文化が成熟し、身の回り以外にも趣味の合う人を見つけてインターネット上でも交流できる時代だ。会社が一緒だからとかいう希薄な理由だけで旅行に行ってられる程、暇ではない。
夜。
夜はいっそう、鄙び宿感が増す。
先ほど宿主さんからもらった平成元年に作成した当時のパンフレットを読んでみる。 後にあるのは、数年前に発行された侘寂温泉と言う書籍。ロビーに置かれていたもので、この中に竹の庄が含まれている。
パンフレットの中には、まだ池に水が張られていた頃の大きな写真があった。とても綺麗だ。しかしこの写真、フィルム写真であろう。それなのにこんなに明るく撮れるものなのか。それとも当時から既に、Photoshopなどで写真を後から編集できていたものなのだろうか。気になる。
続いて、お部屋の紹介に移ろう。 ロビーから続く細長い廊下を進んでいくと、何やら階段が現れた。この階段は今回泊まる部屋専用の階段となっており、なんと、廊下から1フロア上ったところに部屋があると言う珍しい形をしている。 にしてもこの写真、なんだか少し不気味だ。
投宿。
寝室。
窓際。
日差し差し込むノスタルジックな時間。
光の差し込み具合がよろしい。
装飾の施された窓が美しい。
朝には木陰が写り綺麗。
部屋には、現在使われていない木風呂があった。
ちょっと廃墟っぽい。
手洗い場。
便所。
元々遊郭の建物であったからだろう。随所に細かな装飾がされている。
そして1番の目当て、内湯だ。お風呂は一階と二階にあり、こちらは2階にある。汲み上げ式ポンプなど珍しかった時代、2階に温泉があるだなんて相当珍しかったらしい。これを可能としているのは、すぐ隣の敷地で温泉が噴出しており、湯圧が相当にかかっているので、2階まで悠々にお湯が運べたからである。
今まさにこの瞬間、幸せと対面している。
このタイルのデザインがなんとも当時を忍ばせる。
内湯大好きマンなので、内湯ばっかとっていますが、たまには露天風呂の写真もあげときます。
ここの温泉の凄いところは、宿泊者といっても4部屋しかないため、ほぼ確実に貸切風呂とできるところだ。
そして夜、もう一度あの2階の内湯に入ることにしよう。
脱衣場から浴槽をチラ見せするスタイル、好き。服を脱ぐ時間さえもったいなく感じる。
平日は虚無なので、せめて休日ぐらいは幸せを噛み締めていたい。
これだから人生は止められない。
深夜、何も邪魔されず、ただお湯が注ぐ音がする中僕は幸せに沈む。
大正ロマン。
宿泊者は午後11時を境に、男女が入れ替わる。
温泉に入ってさっぱりするじゃないですか。そして夜、静かに机に向き合うじゃないですか。特に何をしているわけでもないのよ?この時間が最高に好きなのよ。「旅」って感じがするのよ。
今夜は本当に良い空間で寝ます。おやすみなさい。
そして朝。
素泊まりなので朝ごはんは昨晩河津駅で購入したサンドイッチ。こちらを貪りチェックアウトする。
最後に宿の共用部の写真をあげておこう。現在の感覚で言うと、このような薄暗い空間は怖いと思う人もいるのかもしれないが、この暗さが当時の通常だった。
昔22部屋あった客室は、現在は4部屋しか稼働していない。宿の一部はバリケードが張られており、昔のクラブの部屋と2つの部屋は宿泊者が歩けない空間になってしまっている。
いかにも昭和初期っぽい。
温泉成分によってさられた絨毯。
とてもいい宿でした。
隣は噴泉地なので、行ってみることにしよう。付近は至る所で速攻から湯気が出ており、とても風情がある。
せっかくなので、温泉卵を食べよう。
美味しかった〜!
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