令和3年3月21日
茨城県の再北西部にある北茨城市。茨城には温泉があまりないイメージだが、ここ鹿の湯松屋には濃厚成分を含む温泉が湧くそうだ。
温泉旅館としても経営している小さな建物は、昔ながらの雰囲気を残している。待合室はノスタルジックだ。現在、コロナウイルスの関係で入浴は1組ずつに限られており、自分が行った時には先客がいたため、20分ほど待ってからの入浴となった。「次の方、いいですよ」と声をかけられ湯船に向かう。ワクワクする。
日当たりのいい廊下を進んだ先に・・・。
おぉ〜。見るからに温泉成分たっぷりな濃厚な温泉ではありませんか。40度くらいの適温で、鉄分と塩味が効いた優しい味わいだ。レジオネラ菌なんて消毒せずとも温泉成分によって清潔に保たれていそうだ。
効能。「脳」が旧字体。
湯船に入って天井を見上げてみる。営業開始当初から変わらないであろうと思われるおしゃれなステンドグラスと空を思わせる水色の木製天井の隙から日光が優しく差している。
浴槽はFRP製で家庭用のものと一緒だが、大人5人は入れるだろう大きなもの。タイルは温泉の析出物により茶色く変色し、浴室全体としても大地の色を帯びている。
窓の格子からも開業当時の雰囲気をそのままに残っているのがわかるし、令和の世にいながら昭和の家庭的な雰囲気の温泉を楽しむには格好の空間であった。