【神奈川・山梨】川崎駅から大月駅までママチャリで激走!

平成29年11月24日

大学の学園祭の準備が本格的になり、サークルで焼ラーメンを販売することになっていた自分たちのサークル。沢山の焼ラーメンを販売すべく、多くの人間を同一時間に配置させ万全の体制をとっていた。勿論自分も焼ラーメン販売に向け本祭4日間のうち、3日間を学園祭活動に充てる予定だった。そんな時、友人から一つ誘いの連絡が来た。学園祭期間中は授業が休みであるから、その時期を利用してどこかに行くというのだ。しかしすでに予定は入ってしまっている。断ろうとしたが、どうやら普通の旅行のお誘いではない様だ。「石和温泉駅にママチャリで行く」。最初聞いた時は意味が分からなかった。頭が沸いてしまっているのではないかと思った。でもその友人、どうやら本気らしい。甲府まで自転車で、しかもママチャリで行けるという謎の自信に満ち溢れていた。石和温泉駅までは川崎から120km。決して無謀な挑戦ではない。が、山を越えなければならない。ママチャリで。いや、どう考えてもきつい。

思えば、中学生時代は毎週の様にママチャリで何十キロも走っていた。中3の夏休みには川崎から千葉、埼玉にいって1日100キロ以上漕いだ(平地だったから、漕いでいれば着く、そんくらいの難易度だった)こともある。しかし、高校に入ってからは鉄道を使い、大学に入ってからは車を使うのが専らで、自転車で遠くまで行くことがめっきり減ってしまっていた。中学生の時の夢が、自転車で日本一周すること。大学生は暇だし絶対達成できる夢だと思った。しかし、現実はそう甘くなかった。なんだかんだ時間に余裕はないし、いつの間にか、夢は自動車で日本一周に変わってしまっていた。自分に甘えが出ていた。就活があるから、といろんなことから逃げていた気がする。

ママチャリでこんな馬鹿げたことが出来るのも、人生で残り数えるほどしかないだろう。ここは一つ、学生時代の思い出作りとしても誘いに乗ることにした。ただ、普段走らない様な山道だし、体力も筋力も中学の頃の様にはないだろうから、苦戦が予想された。6時30分に川崎をでて10時に橋本、13時に相模湖、16時30分に笹子、20時に石和温泉駅に到着するつもりで出発した。ペースも把握したいし、とりあえずサイクルコンピュータを取り付け、タイヤの空気を満杯にし、満を持して出発。

ママチャリを撮っただけだが、若干旅っぽさが出ている・・・?

川崎、幸、港北区は坂もなく、快調そのもので、北山田まで1時間も掛からなかった。が、そこからあざみ野に近づくにつれ、横浜北部特有の、気持ち悪い坂が幾つも見られるようになった。ちょうど通学の人で溢れていたが、ママチャリ通勤をしている人のほとんどが電動アシスト自転車で、この時点で既に場違い感を感じる。坂が全くないところに住んでいると、少しの坂があるだけでうんざりしてしまう。住むところも平坦なところ以外考えられないので、坂がちな場所に住んでいる人たちを見ると、尊敬してしまう。あざみ野を過ぎると、公園の中を走るのだが、いきなり竹林に!下り坂がきつく、後輪用のブレーキをかけると横滑りするし、ブレーキがイかれてキーキー言うようになるし、散々だった。

一旦麻生区、町田市を通って相模原市に入る。この辺は坂も落ち着き走りやすい。が、横浜の坂ですでに腿が痛くなり始めた。まだ旅程の3分の1しか終わっていないというのに先が思いやられる。橋本から413号線を西へどんどこ進んでいくと、津久井湖が姿を現す。この辺はちょうど紅葉が綺麗だ。

少し休憩をし、足の疲れを取る。坂も多くあり、既に自転車からおりて押し歩く場面も出てきたが、まだまだ精神的には大丈夫だ。綺麗な景色を楽しみながら進んでいく。

道なりに進むと412号線に切り替わり、相模湖へ。相模湖プレジャーフォレストで昼食を取ろうとしたが、入場料を払わないとご飯屋に行き着くことが出来なかったので断念。結局相模湖駅のガストで昼食を摂る。

晴れて心から良かったと思った。雨だったらママチャリなんかじゃ危険すぎるし、風邪もひいてしまう。雨が降っていたら・・・おとなしく電車で甲府に行っただろう。電車に1人で乗れるし、車の運転もできる。のに、今、人力で漕ぎ漕ぎしている。ママチャリで漕ぐ楽しさも、辛さも、嫌というほど分かっている。漕げば漕ぐほど、楽しさよりも辛さが大きくなっていくことも。21になって、15の時と同じことをしている。一緒に行く人は変わった。場所も変わった。多分自分以外の全てが違う。なのにあの日感じていた世界に、今なら戻れる気がするのだ。

大分遠くまで来たような気がするが、まだまだ半分だ。

かなり端折ったが、(漕ぐのに必死で何も写真を撮れていない)ようやく山梨県に入った。この時既に、出発から8時間以上経過しており、日没までの時間も気になる頃となった。多分このペースで行くとまずい、と感じ始めていた。

どんどん日が傾いてきた。20号線をずっと走れば甲府まで行けるのだが、歩道がずっとあるわけでもなく、ダンプカーが隣をビュンビュン走っている横を走るから気がずっと張ってしまう。しかも登り下りが思ったよりも続き、そろそろ限界が近くなってきていた。友人の一人は尻が痛いと喚いている。120kmくらい余裕だろ、と言っていた10時間前の彼に、この惨状を見せてやりたい。

途中、日本三大奇橋である猿橋を見入った。複数の猿同士が手をつないで、川の両岸にぶら下がった様時からこの名前がついたようだが、橋自体に猿要素はない。屋根のようなものが橋脚にいくつもあり、面白い形をしている。

日が暮れてきたので、持ってきた懐中電灯を後ろに括り付けて点灯した。山梨市へ入るには険しい笹子峠を通らなければならなかったが、こんなに視認性の悪い状態で山道を走るのは危なすぎるので、大月駅まで行って、そこで自転車を置いて、電車で石和温泉駅まで行くことにした。最初の目的は達成できなかったが、取り敢えずは100km(正確に言うと97km)漕げたし、山梨県まで行くことが出来たので良しとしよう。しかし、ここまで自転車で抜かされのはロードバイクに乗った人一人だけだった。第一ママチャリはおろか、ちゃんとした自転車でもあまり通らないような道をずっと走っていただけなのだが。平均時速は14.2km/h、最高時速は47.8km/h、運転時間は7時間だった。

乗りまぁす!!

石和温泉駅の一つ前の駅で降りて、散歩がてら宿へ行く。帰りは自転車ではなく、神奈川のもう一人の友人が、車で迎えに来てくれるのでそこに自転車を積んで帰る予定だ。あとは帰るだけだ。そう、帰るだけだと思っていたのだ。

翌日5時30分に起床し、車に乗り込んで、ほったらかし温泉へ。土曜日だったこともあり、ご来光を見ようと沢山の人がいたため、ゆったり、とはいかなかったが、いい眺めだった。

そして大月駅に戻ってきた時、自分を含め4人は顔を青ざめることになった。自転車が3台も入らない。車の上に2台置けばいけないこともないが、高速道路をかっ飛ばす車の上になんの変哲もないママチャリが二台乗っかっているのはシュールだし、何より落ちてしまう危険がある。友人がこの車に乗ってやってきた時、入らないだろうとツッコミを入れたけど、本当に入らない。2台すら入らない。大月駅で詰んだ。誰だ、あとは帰るだけだ、とかのんきに考えていた奴、出てこい。昨日ぜぇぜぇ言いながら走って来た道は絶対にもう漕ぎたくない。なんとかして自転車を神奈川へ送り届けなければならない。馬鹿ども4人は何か良い手はないか30分以上考えた。宅急便で送ろうと、自転車を持って行ったが、こんなに大きいものは運べない、と拒否され、引越し屋に値段を聞いたら1台16000円とかいう世紀末な値段だし、JRに問い合わせたら、袋に入れば持ち込み可能だが、条件である縦横幅の和が250cmを超えていたし、もうどうしようもなかった。ママチャリで片道で遠くまで来て、詰むような人間はそうそういないだろう。多分今のこの気持ちを誰も理解してくれない。

結局、妥協案として、大月でライトエースを借りて、相模原駅まで4人と2台の自転車を運び、そこから2人は自宅へと自転車を漕いで帰る。残った二人は大槻まで戻ってレンタカーを返却し、神奈川から持ってきた車に残りの自転車一台を大月で乗っけて神奈川に帰ることにした。かなりの無駄足と無駄金を消費してしまった気もするが、それは旅の思い出ということにしておこう。

神奈川からやってきた友人、わざわざ午前4時に出発をして来てくれたのに、まだほったらかし温泉にしか行けていない。さすがにそれでは可哀想すぎるので、山梨観光を少しすることにした。

鳴沢氷穴と風穴。なんだか、見所として、大きな氷柱があるらしく、入り口には大きな氷柱の写真もあったので、ついでに見ていこう!!と意気揚々と乗り込んだが、どうやらこの季節は氷柱は1ミリたりとも出来ず、何も見るものがなかった。氷柱がないなら、そのことをちゃんと入り口に書いておけよ!と憤慨してしまった。日本三大がっかり名所、とよくいろんな場所が挙げられるが、「こんなのあんまりだよ・・・」とリアルに声を出してしまうところだった。(がっかりしたくない人は、春先がおすすめらしいので、その頃に行きましょう!)

ハンバーガーを食べる。ちなみに昨晩はほうとうを食べた。

大月駅前のそそられる建物。

そしてライトエースに自転車を乗せる。余裕のよっちゃんだ。

飛行機雲が、良いか悪いか、自転車で辿りつくはずだった石和に伸びていた。楽しかった。もう二度とやりたいとは思わないが。なぜみんな、自転車ではなく車を使って旅行に行くのか、分かった気がする。

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