【熊本】水俣の限界集落を散歩!

石神

平成30年8月25日

このページは結構長くなる。というのも、水俣市内にある限界集落をここでまとめ切ろうと思っているためだ。恐らく水俣市といっても、限界集落についてまとめているブログや論文などはほとんど無いであろうから、このページは現在の水俣の姿を止めるという意味では重要なページになるかも知れない。一箇所1箇所でページを分けないというのは、パッと見て水俣の集落を横断的に把握できること、また、数が多すぎて目次を圧迫してしまうという懸念もある。そして今回このようなページを作るのは理由があって、それは自身の大学での卒業論文の備忘録として活用するというものだ。自分は大学で水俣市の地域活性について考える研究会に所属しており、卒業論文では自分の興味関心のある廃集落と組み合わせ「国内の消滅集落から見る水俣市内各集落の存続可能性」をテーマに論文を書き進めているところだ。地図とにらめっこしただけではわからない水俣市内の現状をこの目に焼き付けようと実費で8月と11月にやってきた(毎年2月は研究費を頂いて調査に出かけている)。まずは石神。

 県道323号線沿いにある集落。4kmほど離合がし辛い細い道を進んだところにある。集落奥に辻牧場があるがさらに奥へ続く道は自然に還りつつある。グーグルマップ上では道と判断されているが、歩くことすら困難。集落入口付近は友人住宅が何件もあるが、奥に進むにつれ廃屋や更地が目立ち、更地となっている箇所は既に樹木が生い茂っていた。付近には人吉新水俣新線95、96号が点在。(鉄塔)

乗り合いタクシーは街中に出るのが一日朝一本、夕方に帰ってくる便が2本ある。

最初は人吉新水俣新線が道を表すものだと思っていたため、なんでこんなに新しい指標が立っているのに道がなくなっているのだろう?と不思議に思ったが、鉄塔の線を表すものだった。

集落奥には石神観音が。電気は通っているようなのであるが、そこへたどり着く道は見つからなかった。

袋(袋岡山から南)

平成30年8月25日

 国道3号線から袋駅付近にある側道を東に進み出水市との境にある地域。道は未舗装で長年の雨水の通りによって深い溝ができ最徐行する箇所が何箇所かあった。軽トラックで奥へ進む老夫婦がおり、最近山を切り開いている形跡も見られるため、有人地域である。奥へ進むと登山道となる。

レヴォーグでの訪問だったため、傷を気にしなければ先に進むことは可能なのだが、怖いので付近のくぼみに車を置いて先へ進む。住人のいる家屋。先ほど追い越された軽トラックはここには停まっていなかったため、さらに奥へ行ったものと見られる。

分岐付近は樹木がかられた跡が。生々しい土の状態からすると、この辺で林業を営む世帯がいるのかも。

これより先は矢筈岳に進む登山道となる。ここで引き返すことにするが、はて、先ほど見た軽トラックはどこに行ったのだろうか・・・

大丸

平成30年11月13日

離合できない道が続く。急坂の側道を登った坂に家。畑と棚田が広がる。有人。 車通りは皆無ではない。桜野上場と薄原の間。薄原迄は車ですぐ。

家屋はかなりの上にある。

秘境に続きそうな道。

大川奥

平成30年11月13日

圏外。離合は極めて困難。ガードレールのない崖ぎわの細い道が続く。地理的末端地域であるがタクシーとすれ違ったため、タクシーを利用する住民がいることが分かる。道は所々修復されているが十分とは言えない。家は3軒。耕作放棄地と見られる場所が目立つ。

鏡が取れてしまって先を伺うことができない。

寺床

平成30年11月13日

圏外。家屋はまとまって建つ。水俣乗合タクシー寺床・寒川線終着。大川入口から柳平、野辺田、寺床までは道が綺麗に舗装されている。

停留所。

野辺田

平成30年11月13日

ここは電波が通じるが、さらに奥で圏外。眼下の景色が見える。この辺りも離合は厳しいが、寺床付近よりは離合箇所は多い。

眼科を見下ろす。

柳平

平成30年11月13日

家屋は斜面に沿って点在。ここよりも北の集落と比較し、斜面を利用しているのが目立つ。棚田が広がる。

広がる棚田。

茶木平

平成30年11月13日

圏外。家屋は一軒のみ。他は作業小屋。棚田に囲まれる。道は綺麗に舗装されているが離合箇所は少ない。道は最後自然消滅。

みかん。水俣は甘夏が有名だ。

家屋。集落へ至る道は最後急勾配。隣の集落までそれほど遠くはないものの、道は背の高い木に覆われて日中も薄暗い。

寒川

平成30年11月13日

道沿いに家屋が並ぶ。空き家も見受けられる。集落東限に「水源」停留所あり。離合箇所が多く設けられている。

空き家。

中身。

一本木

平成30年11月13日

道幅4m以上ある道に並行して走る細い道沿いに家屋が建ち並ぶ。倒壊しかけた家屋が少なくとも3軒。乗合タクシーは入ってこられず「一本木入口」停留所があるのみ。棚田が広がる。

空き家群。

市の木

平成30年11月13日

圏外。通り沿いに家屋が点在。家の基礎だったと思われる場所が存在。別路線の乗合タクシー終点。

山木場

平成30年11月13日

見通しの良い国道沿い。南国交通の停留所あり。一日4本。棚田や温室ハウスが多くある。

並ぶ温室ハウス。

越小場

平成30年11月13日

無田湿原の先の最深部。集落手前に「私有地無断立入禁止の看板が立つ。家屋は一軒のみで、その為の昭和末期の電柱と電灯が家屋に向かって伸びる。

散策するときに欠かせない地図。

立ち入りを禁ずる立て札。

無田

平成30年11月13日

通りから一段と下がった所に家屋がまとまって建つ。周りが全て斜面に囲まれ、畑が点在する。

越小場無人地域

平成30年11月13日

完全に崩壊した建物が四棟。一軒の人家と倉庫と思われる。手前にも人家のものとみられる石垣が斜面に沿って少なくとも二段以上並んでいたのが確認された。昭和42年の国土地理院地図(25000分の1)取り、石垣は棚田の跡であることが分かった。現在は30cm程度の幹を持つ木が何本も生える。九州電力のマークが入った電柱があり、かつては電気が通っていた。建設年は不明。舗装されているが道の荒廃が進んでいる。道の真ん中に背丈1mを超える雑草が生えており、日常的に使われている形跡はない。

切られた木。

倒壊した家屋

道。

仁王木

平成30年11月13日

15号線から一段下の谷沿いに家屋がまとまる。数段の棚田が多くある。

平成30年11月13日

県道117号沿い。長崎、南福寺と近接している。集落北限から300m北に九州新幹線の高架が通っており、水俣市街へも容易に行くことができる。

長崎

平成30年11月13日

鶴の南にある。

南福寺

平成30年11月13日

長崎の東にある。

大窪

平成30年11月13日

県道117号沿い。南福寺から市街方向と逆に1kmほど進んだ所にある。

だんだんと日が暮れてきた。今日は1日で10以上の集落を回っている。

白岩

平成30年11月13日

大窪から県道117号を更に奥に1km進んだ先にある。人家4軒と建設会社から成り立つ。

新屋敷

平成30年11月13日

白岩から1.5km、県道117号を奥に進んだ所にある。大森、赤林と近接する。

この辺は川沿いに集落が続く。

大森

平成30年11月13日

新屋敷の南にある。

赤林

平成30年11月13日

大森の東にある。

招川内

平成30年11月14日

渓谷沿いに家屋が点在。傾斜を利用して棚田が多く存在する。市街地から遠く途中狭い道もあるが、アクセスはしやすい。

頭石

平成30年11月14日

市内の県道国道沿いにある集落としては珍しく、主要道路よりも人家が高い所にある。生活丸ごと博物館あり。

道路沿いに建ち並ぶ

五目木

平成30年11月14日

圏外。家屋が点在。なだらかな斜面に棚田が広がる。県道118号線が頭石集落南で頭石川を大きく曲がりながら渡った先から2km、五目木に着くまで街灯のない山道が続く。

湯出奥

平成30年11月14日

圏外。人口0地区であるが、作業小屋と現役の田畑がある。周りを県保有の林道に囲まれ、一般車は118号線を使ってのアクセスしかできない。鹿児島県との県境に位置し、出水市街と水俣市街へのアクセスが考えられるがどちらも遠い。

林道へは立入は禁じられている。行き止まり付近はかなりの悪路だ。

鬼岳下

平成30年11月14日

圏外。家屋は三軒で田畑が広がる。水俣クマタカを守る会所在地。道は決して細くはないが、県道国道いずれに出るにも7km以上ある。

置き去りにされた椅子。

鬼岳上

平成30年11月14日

圏外。水俣乗合タクシー鬼岳線終点。細い登り坂の左右に家屋が建ち並ぶ。

石坂

平成30年11月14日

国道268号線からほど近い細長い集落。アクセスは容易。亀嶺峠で石飛と繋がる。

合畑

平成30年11月14日

家屋は三軒。棚田が広がる。付近にここよりも標高が高い地点が少なく、日当たり良好。が、集落へ至る道は離合箇所が少ない。水俣乗合タクシー小津奈木線終点。

長く続く棚田。

綺麗な青空だ。

小野川内

平成30年11月14日

電波は悪い。棚田が広がる中に1箇所に家屋がまとまって建つ。

吐合

平成30年11月14日

小野川内のように棚田が広がる中に1箇所に家屋がまとまって建つ。棚田は10段以上に登る。

中屋敷

平成30年11月14日

1箇所に固まって家屋が密集。集落へ至る道は綺麗に舗装されて幅が広く通りやすい。

別の角度から。

木臼野

平成30年11月15日

南北に長い集落。通り沿いに家屋が並ぶ。東西にも100mほど畑と棚田が広がる。茂川(木臼野開拓)と湯の鶴と繋がる。車を道端に止めて集落の記録をノートにまとめていたら、水俣の私服警察がやってきて、この辺でお金の窃盗があったので免許証を見せて欲しいとのこと。確かにレンタカーで周りに誰もいないようなところで若い男が車の中にいるのだから怪しさはハンパない。もちろん盗みなんてしたことはないので職質に付き合う。神奈川から来たこと、大学でこんなことを学んでいて調査のために水俣に来たこと。今日夜に鹿児島空港まで行って成田から家に着くのは日をまた具だろうということ。いつの間にか普通の会話になっていたが、全く怪しまれずすぐに返してくれた。「今日は他にどこ回られるんですか?」って聞かれるから「野川開拓と茂川に行ってその後は鹿児島に行くついでに色々巡ろうと思います、と返した。神奈川から来た奴が、水俣市民でさえも行ったことがないような地名をこんなにスラスラ言うんだからビックリだろう。「この辺で泊まっているの?」という質問には若干困った。1日は温泉街で泊まったが、他の2泊は車中泊だった。特に昨日は駐車場ではなく道端だったので警察の前でそれを言うのはあまり気が進まない。でもしょうがない。ここでもごもごしてしまっては変に怪しまれてしまうかもしれない。昨日は亀峯峠で車中泊しました、と答えた。そしたら警察の人、怪しむどころか単に驚いていた。「え?昨日はすごか寒くなかったですか?」と返事が来た。そりゃ寒かった。7度しかなかった。でもその分快晴で、満天の星を眺められたので良しとする。そのとき撮った星空は 湯の鶴温泉のページを見ていただきたい。

木臼野開拓

平成30年11月15日

数分置きに害獣対策か、サイレンと銃撃の音、獣の唸り声の録音されたものが流れる。家屋は空き家1軒を含む4軒。

空き家を覗く。

茂川

平成30年11月15日

川沿いに家屋が並ぶ。他地域よりも畑の比率が高く、11月の平日11時頃の訪問時は畑で作業する人が5人以上いた。

集落全景。

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