平成30年8月31日、再訪:令和6年8月23日
付近の屋島山上駅の跡を見に行こうと、観光客で賑わう駐車場付近からてくてくしている途中、観光客の姿がほとんどいなくなったところまで歩いていると右側に何やら新し目の廃旅館が建っていた。調べてみるとこの付近、廃旅館が数多く立ち並んでいたらしく、軍艦島のようだとも言われていたらしい。しかしほとんどのホテルはことごとく解体され、付近に残る廃墟はここと屋島山上駅だけになってしまった。政府登録国際観光旅館というなんだか凄そうな認定を受けているが、入口は完全にフリーな状態になっている。もしかしたら今夜一泊できるかもしれないと、フロントにいる係員に聞きに行くことにした。
入口にあったゲーム筐体。やや古いが、その辺のホテルに行けばまだまだ現役なやつ。
外から見えた部屋の中は現役なのか迷うほど綺麗な感じだったが、1階のロビー付近は薄暗く、廃墟らしい雰囲気。でも分からない、部屋が綺麗なのだから、営業しているかもしれない。
因みにホテルの真ん前からはご覧のような綺麗な景色を望むことができる。
フロント。焼かれたのではなく、浸水によるカビの色だ。強烈なカビの匂いが鼻をツンとさす。
さて、今日は宿泊できるかな、とフロントの前で待ってみたが誰もこない。不思議に思っていると、案内が書かれていた。どうやら今は留守にしているらしく隣の黒電話で内線8番にかければいいとのこと。あれ、おかしいな、誰も出ないぞ・・・。
床に散乱した大量のマッチ箱。
昭和35年創業、平成14年廃業。廃業年の時刻表が置かれていた。あら、もうやっていないのね・・・
事務室内部。電気がついていない。今日は休館日か?そんなこと入口には書いてなかったぞ?(悪ノリ)
内容液だだ漏れ。
あはー、これはダメですね、さすがに廃墟っすね。
でも薄暗い階段を上ると・・・
ほら、やけに綺麗で明るい空間が広がるのですよ。
大半は暗いけどね。
部屋。下には得体の知れない筒を半分に割ったようなものが。
たまーに飲みかけ食べかけのものが置いてあって、上の階には人が住み着いていた形跡もあるらしい。保存状態はまぁまぁいいみたいよ、7年前の情報だけど。
外から見えたお部屋の中は綺麗だったけど、光の刺さない暗い場所はやはり朽ちが速いようだ。
良い景色が見られたのだ。この景色をもってしてでも廃業に追い込まれるのだから、経営って難しいんだなと感じさせられる。
夜になって真っ暗になり、朝になって陽が入り、また夜になって真っ暗になり・・・を16年間続けている。部屋はどんな気持ちなんだろう。
部屋に問うてみたが、カビの匂いがするだけで、何も返ってこなかった。そういやサンダルで来ていた。硝子の破片もあるし危ないな。こんな場所にもともと来る予定がなかったからすごいラフな格好で来ちゃってるよ。興奮して結局予定の時間を軽くオーバーしてしまったがまぁ良いや。今日は屋島を出た後、淡路島を通って神戸に行く予定。辿り着けなくても良い。場所との出会いは一期一会。そん時の気分で旅の行き先なんてほとんど一瞬で変わっちまう。
~ここから再訪~