令和5年5月2日
崩れやすい急峻な崖地を持つ大崩海岸には、平成25に起きた土砂崩れによって廃道になった場所や、旧東海道線の遺構が見られる。今回は、昭和23年の台風によって崩れ落ちた石部隧道(せきべずいどう)を目指す。場所は静岡県焼津市の海上を走る石部海上橋から南西に300mほどの場所にある。隧道跡の近くに簡易的な有料駐車場があり、そこから半は藪漕ぎで降りると、隧道に出くわす。
訪問は、ゴールデンウィークがギリギリかもしれない。既に相当緑が茂って、7月にもなれば近づくのも困難になるかもしれない。また、海岸に降りるには梯子を降りる必要があったり、ロープを使ったりもするので、ラフすぎる格好はお勧めしない。
そんなこんなで降りた先には、一瞬では状況の掴めない空間が広がる。隧道の坑口から先に何もなく、瓦礫が横たわっているだけになっている。隧道は明治22年に造られたもので、相当な歴史を誇るが、建設から60年ちょっと後の台風で儚くも崩れ落ちてしまった。
隧道内部。
坑口の左下から伸びるロープを伝えば隧道内に入れる。
空撮。
朝日に照らされ、良い色をしていた。少し先には、海上橋が見える。海岸沿いでなく、わざわざ海側に橋を作って道路を通しているのだ。お洒落のためではない。大崩海岸という名の通り、道路を通し続けるにも一筋縄では行かない場所なのだ。そんな環境下においても、東名間の大動脈を途切れさせぬよう、弛まない努力が、背後で行われているのである。