令和2年5月30日
埼玉県秩父市の西部。廃集落群がある裏山ダムや、ループ橋が美しい雷電廿六木橋よりも西側に入川林道はある。かつ手は森林鉄道として、森林から伐採された木材を運搬するための鉄道が通っていた。昭和59年に廃線となったが、現在も東大の演習林として、かつての鉄路跡は道として生きている。
車で行けるところまで行き、山の家という宿泊施設前でゲートに阻まれたため車を駐め、そこから歩きだ。レールの跡まではそこから2〜3km歩いたところだ。最初は舗装路が続くが、すでに崩れ去った何かの残骸があるなど、雰囲気が出ている。
コロナウイルスのおかげで県外外出を控えていたが、緊急事態宣言が解除されたこともあり、数ヶ月ぶりの外出である。この高揚感は久しぶりである。空気が美味しい。
令和元年の台風の影響で、路肩や建築物に甚大な被害が及んでいた。かつては大型車がここを通っていたようだが、
その状態まで戻すにはかなりの費用と時間が必要でありそうだ。
旧字体の入った消防信号の看板。
緑に誘われて。
途中にはキャンプ場があったり、特別釣区ということで、川辺に降りて魚を取ることもできるらしい。残念ながらコロナの関係と台風の影響で営業は中止されていた。
なんだかとても神秘的。
森の中に水の流れる音が響く。
東大の演習林であることを示す看板。
山の家から1.5kmほど歩いた頃にようやく、昔ここに鉄路があったことがわかるものに出会える。レールの廃材で作られた欄干だ。
どんどこ進んでいく。時折小雨が降っては止んでの繰り返しだが、水を含んだ森の匂いはとても美味しい。
そしててついにご対面。街中を走ってるレール幅よりも短く、大井川鐵道と同じくらいか。
分岐なんてのも残っている。
森林鉄道は全国的にめっきりなくなってきているらしい。用途を終えて自然に隠されているところも数少なくないという。ここは演習林としては現役の箇所であり、森林鉄道の旨味を感じ取れる数少ない場所となっている。気になるのであれば、完全に道が崩れ去ってしまう前に行かれたい。
足場が崩れ去っても平然としている鉄柵がかっこいい。
さて、駐車した近くにあった「山の家」は大層急で細く足場の悪い階段を登らねばならず、気になった。
登った。確証は持てないが、現役ではなさそう。
暖かい色をしていても、ツンとした匂いが鼻をさし、そこに人の営みがないことに気がつく。