【青森】明治以前建設の鄙び客舎、温湯温泉 後藤客舎に宿泊!

令和3年10月30日

綺麗な紅葉と至高の温泉を求めて青森にやって来た。自宅のある札幌から高速バスで苫小牧に出た後、船に8時間乗って八戸、そこからレンタカーでここ黒石市にある温湯(ぬるゆ)温泉まで来た。
ここは小さいながらも古い建物が残っており、風情のある街並。宿に入る前にちょっくらあたりを散歩してみる。
薬局。
青森では、客舎(かくしゃ)と呼ばれる宿泊形態がある。簡単にいえば、温泉街にある温泉を持たない宿泊所である。訪問客は宿に泊まりつつ、風呂は温泉街にある共同浴場を利用する形だ。古来の温泉旅行の楽しみ方でもある。青森県内には昔、多くの客舎が存在していたが、廃業したり温泉旅館に転用されたりして現存する純粋な客舎は1つしかない。写真はかつて客舎であったが、現在は温泉旅館となっている。
そして県内唯一の現存する客舎、後藤客舎は写真右側の建物である。本日の宿である。奥の商店の佇まいが素晴らしい。店内の商品は割高であったが、お菓子を2つ購入した。
入口。
ごめんくださ〜い
すると隣の棟からおばあさんが出て来た。素泊り3500円だ。ここまでに客舎内の写真を3枚上げたが、これらに惹かれたのであれば3500円はとても安い。
客室。今日の宿泊者は自分だけらしい。
「冷蔵庫にリンゴが入っています」と言われた。なんと3つも入っていた。美味しくいただいた。
しかも、温泉前の共同浴場(250円)の券もついていた。リンゴ代を安く見積もっても、宿泊代は3000円程度だ。お得すぎる。そしてこの窓枠のデザイン。大正モダンだ。建物の建築年は不詳だが少なくとも100年以上、もしかしたら江戸時代末期にまで遡るらしい。
客舎内を回ってみる。炊事場。
日めくりカレンダー。
お手洗い。男女共用。大便器は洋式2つ。
さて、日が暮れたので夜明かりに照らされた街を見に行ってみよう。
客舎と商店。この景色、素敵すぎないか・・・?
商店。光の発し具合がドストライクすぎる。
静かだ。
静かな夜。部屋に戻り、リンゴを食べよう・・・。
朝。寝る直前までストーブを炊いており、朝方でもまだ氷点下にはならない時期であったため、それほど凍えることなく夜を明けられた。これが厳冬期であれば、外界と柔な硝子サッシと障子でしか遮断されていないこの部屋はかなり寒くなることであろう。でも、この部屋で過ごせてよかった。
だって、こんなお宿、いくら払ったって今から作れるような物ではない。年季が染み渡った建物は、何故こうにまで自分を刺激してくるのであろう。なんかの機会にまた訪れたい。そう思った。あのおばあさんの後継はいらっしゃるのかしら・・・。

北海道ではこのような木造建築はまず見ない。だから、本州出身の自分としては、こういった建物に惹かれるのだ。夏の北海道はよかったが、冬季はしばらく、本州に恋する季節となりそうだ。

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